【奈良漬の賞味期限】うっかり過ぎても大丈夫？プロが教える正しい知識と食べ方

お土産で買ったりお友達にもらった奈良漬、日持ちがするからとついつい冷蔵庫の奥に入れっぱなしになっていて、見つけた頃には賞味期限直前！なんてことありませんか？
食べるのを楽しみにしていたのに捨てるのはもったいないし、そもそも保存食品だから大丈夫なんじゃないの？と気になることいっぱい。
そんな疑問にプロの奈良漬屋がお答えします。

保存食品としての奈良漬の成り立ち

奈良漬は1300年の昔、濁酒（にごり酒）に漬けた瓜を宮廷に献上したとき「奈良漬」の名前を賜ったのが始まりと言われています。なぜそこまで奈良漬が高く評価されたでしょうか。それは味が良いこともさることながら、旬にかかわらず年中通して瓜をおいしく食べることができる保存技術も認められたから、なのかも知れません。

そもそも漬物は食品を長期間保存するために生まれた方法。現在のように冷蔵庫や物流が発達していない大昔、採れた野菜をシーズンが終わっても食べられるように塩漬けにしたものの、そのままでは塩っ辛くて食べられません。水で洗って塩抜きしてもしっかり塩を抜ききれずに塩辛かったり、塩抜き後は日持ちしないため傷んでしまったり、となかなかおいしく食べるのは難しい。全国各地でいろんな漬物があることを考えると、きっといろんな方法が試されたんでしょうね。

そして、奈良漬は塩漬けの野菜を改めて酒粕に長期間漬け込んで作ります。
その過程で
・酒粕に含まれるアルコール成分の殺菌作用で、より長期間の保存ができる
・野菜の塩分が酒粕に吸収されて、しっかりと塩抜きされる
・酒粕自身が持つ旨味が野菜に加わる
・酒粕はお酒の搾りかすなので、お酒のできるところで手に入れやすい

といったメリットが、長い歴史を経た今でも「奈良漬」がおいしい調理法として伝えられてきた秘密なのではないでしょうか。

奈良漬に賞味期限はある？過ぎても大丈夫？

奈良漬が長期間保存できるのはわかったけれど、賞味期限はあるのでしょうか。十年以上も漬け込んだ奈良漬もあるというし、パッケージの裏には賞味期限も書いてある・・？
そこで、「賞味期限」とは何か、まずはしっかり確認しましょう。

＜賞味期限＞

　「袋や容器を開けないままで、書かれた保存方法を守って保存していた場合に、この「年月日」まで、「品質が変わらずにおいしく食べられる期限」のこと。」

（引用：消費期限と賞味期限：農林水産省）

つまり、賞味期限は”この期限を過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではないが、おいしく食べられる期限はこの日まで”という意味でやや長い期間 品質を保つことのできる食品の期限表示に使われている表示です。
ちなみによく似た意味で使われる「消費期限」は、生鮮食料品のように大体５日以内に品質が悪くなる、傷みやすい食品の期限表示に使われており、”期限を過ぎたら食べないほうがいい”ことを示しています。

いずれにしても、食品は表示されている方法を守って保存しておくことが大切です。
そして、一度開けてしまった食品は、期限に関係なく早めに食べるようにしましょう。

賞味期限を過ぎた奈良漬はどうなるの？

というわけで、賞味期限を少しばかり過ぎたからといってすぐに捨てなくてもよさそうですが、まず気になるのは「賞味期限を過ぎた奈良漬はどうなるのか」ですよね。そしてどうやって食べたらいいのか、ご紹介しましょう。

賞味期限を過ぎた奈良漬の特徴

・老ねた風味になる（酒粕のクセが強くなり、新鮮味がなくなる）
・ドリップが染み出し、シャキシャキ感が落ちる
・色が濃い焦げ茶色になる
・旨味が落ちる

やはり、おいしく食べられるおススメの時期を逃してしまうと、本来味わってほしいおいしさを味わえなくなってしまうのですね。

賞味期限を過ぎてしまったときの食べ方

賞味期限を過ぎたからといってすぐ食べられなくなるのではありません。しかし保存の状況に大きく左右されますからまずは開封して様子をみたうえでご判断ください。（カビの発生、妙な変色、異臭などは論外です）

賞味期限をちょっと過ぎてしまったくらいであれば、まずは毎食 目に付くように食べる大きさにカットして食卓にバンバン出していきましょう。なんだかんだ言っても食べ始めたらおいしい漬物。お弁当にいれたりカレーに添えたりすれば すぐになくなっちゃいますよ。

また、思い切ってアレンジレシピに挑戦するのも一手。マヨネーズやお肉との相性が割といいので、ハンバーグやピザにトッピングしたり、グリーンサラダ＋マヨネーズに混ぜ込むなどアイデアはいろいろありますよ！おっと、ご家族の反応を見るのをお忘れなく。

まとめ

さて、いかがでしたでしょうか。
賞味期限を過ぎたからと言ってすぐ食べられなくなるのではないんですね。けれど、心をこめてお作りした「奈良漬」。せっかくなので、おいしい賞味期限のうちに食べてくださいね。